Q4. 抵抗ブリッジの機種決定に当たって、どういう段取りで進めるべきですか? (質問からの抜粋です。

 

  抵抗ブリッジは、電気校正の標準室の高価な中核機器です。安易な機種決定は、後々の禍根になるかもしれません。標準室で運用される校正機器は標準室の校正能力に、かなり密着した相関性があります。安易な機種決定は標準室の、さらに会社の評価につながるかもしれません。

  校正機器の中で抵抗ブリッジの技術は日進月歩で進展しています。過去の名前、代理店のサービスを考えるだけで、導入機器を決定するのは現実的ではありません。最後はお客様の責任で全て決める、というのは事実ですが、是非、以下の質問を計測器メーカに、そして導入の段取りを決めることをお勧めします。後々、悔いを残さないために。

  

  選択した標準装置が世界の非標準装置ではないようにするために。

 

  以下は本当に使える抵抗ブリッジを選択するための作業です。

 

ステップ1:メーカから情報収集します。

        そのとき、以下の質問をします。当該機種は校正機関で活用されていますか?

 

(問題なければ、)その機関名を教えていただけますか?

 

教えていただければ、直接情報収集し、御参考情報を得られるでしょう。    

         「推奨は得られない。」、かもしれませんが、使い勝手は説明してもらえる可能性があります。

        折角、新規導入されても、何かの不満を抱えている、現実には使えていない、という事例は

        結構あります。

あなたが選択した機種がメーカでは世界で初物であるとか、日本で初物であるとか、そしてその機種の実験台ユーザにならないための対策です。本当に、折角、新規導入されても、

実際の運用した機関はないという事例は結構あるのです。

カタログ上の仕様は満足したから、その機種を選択した、という例は結構、聞きます。実際0.1ppm以下の不確かさで校正する計測器の能力をカタログ値だけで判断されるのはリクスが大きいです。今後、何年、何十年もの間、あなたの標準室の基幹計測器になるのですから。

 

実施された受入試験結果がお客様の要求仕様に適合していても、その状況がいつまで継続できるか?、考えておく必要があるのです。

仮に、現在の値がお客様の要求仕様に適合していて、次の更新審査の時期(例えば2年後)に
は適合している必要があります。実際に、サブppmの精度を保証するためには慎重な考慮が必要です。

 

また1ppm以下の不確かさの計測器の評価(校正、補正)を自社でされるのは現実的ではありません。校正技能の問題ではなく、相応の設備(ccc)が必要になるのです。

 

また0.1ppm以下の不確かさの計測器の評価を自社でされるのは現実的ではありません。校正技能の問題ではなく、相応の設備(ccc)が必要になるのです。

 

例えば100Ωの抵抗を10μΩの不確かさ以下で校正できることを確認する必要があるのです。

 

また国研機関(日本では産総研、アメリカではNIST等)がユーザであるのなら、かなりの安心材料になるでしょう。

 

因みに標準校正のトレーサビリティ制度は各国で整備されています。トレーサビリティの1次機関は各国にあります。例えば日本では産総研、アメリカはNIST、ドイツはPTB、英国はNPLになります。

 

さらにメーカは自社の標準室を保持している可能性があります。そのサービスを確認されると、ある程度、計測器の能力を想像できると思います。

A2LAのホームページでは計測器メーカの校正サービス情報を紹介しています。

 

   ステップ2:できれば、メーカを介さずWeb等で抵抗校正の論文を収集し、検討する計測器のパフォーマンスを確認します。

 

         何を使って、どのような研究をしたか、多数論文発表がされています。

 

   ステップ3:複数の校正事業者に訪問し、作業方法、計測器を情報収集します。

         弊社に申し出をいただければ、ベストな公的機関を了解を得て御紹介させていただきます。

 

 

ステップ4:ステップ1から3までの情報で機種決定に至ります。

 

ステップ5:できれば計測器の手配には、計測器と第三者の評価結果を合わせて手配してください。費用は嵩みますが。もちろん計測器を受け入れ時点で、その値が仕様に満足していることを確認します。不可なら。。。(この評価サービスは国内機関でも可能です。)