放射光施設 ビーム電流計測用のDCCT 校正について

文献Handbook of Accelarator Physics and Engineering)で

直流変流器(DCCT)の校正方法を説明しています。(以下、抜粋)

 

DCCTの校正方法として参照標準の校正電流を必要とする方法があります。この校正電流は、高精度であることが必要です。CERNではDCCTの校正用の参照電流源を開発しています。

 

 

The latter method requires a precision current source to generate the calibration current. AT CERN, a programmable current reference 

has been developed for the calibration of DCCTs equipped with calibration windings.

(P.506, Handbook of Accelarator Physics and Engineering, Second edition)

 


CERNとMETAS(スイス国研)はDCCTの比較校正を実施した(校正能力の確認)、と論文紹介しています。

 

(論文名:Comparison of CERN and METAS high current standards up to 10kA)


メジャーメンツインターナショナル(MI)が開発した20kAの直流コンパレータ(DCC)レンジエクステンダーは、スイスのジュネーブの傍にある欧州原子力研究機関(CERN)の大型ハドロン加速器(LHC)の直流変流器(DCCT)のキャリブレーションに使用されています。

 

MIは、NRCC(カナダ国研)によって考案された考え方に基づいて、20,000 kAのレンジエクステンダを開発、1990年代に納入しました。納入したレンジエクステンダーは、スイスのジュネーブにある欧州原子力研究機関(CERN)施設の大型ハドロン加速器(LHC)に付くの直流変流器(DCCT)の校正に使用されています。

 

大型ハドロン加速器は、宇宙の創造研究に光を当てる可能性のあるものを含む、高エネルギー物理実験で素粒子を研究するために設計された27 kmの円形粒子加速器です。100か国の数千人の技術者による数年間の開発と建設の後、最初のビームは2008年9月10日に27 kmの加速器による誘導を成功しています。

 

CERNの技術者からMI社長のデュアンブラウンに、『実用に足るシステムを開発・納入した。』ことに感謝の言葉を送っています。

(この内容はMIのウェブサイトで紹介しています。)


 

校正は必要です。!!

 

ヨーロッパ某機関のDCCTセンサ校正の方針 

 

最初に、校正方針を決定する際に行うことは、校正が本当に必要か?考えることです。

この質問に答えるときに考慮すべき内容は以下の通りです。

:

– DCCTセンサ(電流センサ)の長期安定性は業務に重要な要件ですか?

– 使用するDCCTセンサの長期ドリフトは、どこまで許容できますか?

– 複数の電力変換器で使用するDCCTセンサの出力特性の評価は必要ですか?

– DCCTセンサを交換する基準はありますか?

 例えば、出力特性がドリフトしたDCCTセンサを交換することで、

 実際には発生していない変換器の出力が変化したように見える場合があります。

 ここで校正を行うことで、この変化を予想することが可能になります。

 

High Precision Current Measurement for Power Converters

Geneva, Switzerland